ワンス・アポン・ナ・タイム…

石畳の町は、見たことのないものが沢山あります。
エステルは色々な音や色々な匂いにおどろきながら、
きょろきょろと町を歩いていました。
「君は何処へ行くの?」
道に、不思議な目をした花売りが立っていました。
「それとも、何処から来たのと聞いたほうがいい?」
花売りは、にっこりと笑いながら近づいてきました。
「森を歩いていたら、ここに来てしまったのです」
エステルは、ウソをつくということを知らないので、
花売りに本当のことをいいました。
「エルフの森は時々不思議なことが起こるというの
ですが本当ですね、ここはどこなのですか?」
花売りは、しばらくきょとんとして考えてから、納得したように
頷いてこう言いました。
「ここはロンドンという町で、エルフは住んでいないんだ」
エルフがいないと聞いて、エステルは急に不安になりました。
今までエステルの周りには背が高くて美しいエルフ達が常
にいて、どんな困ったときにも教え導いてくれたのです。
少年の困った様子がわかったのか、花売りは一輪のバラを
少年に差し出して言いました。
「エルフはいないけれど、君はきっと君がいた場所に帰れるよ。
今このバラにそうお願いをしたからね」
「あなたは魔法使い?」
「いいや、放浪者だよ」
キレイなバラを見つめている少年に、花売りはどこのコトバなのか
分からないささやくような歌を歌います。
そして………




「そして、ふと顔を上げると、少年は見慣れた森に帰って
いたのでした」
デヴィッドの声は、霧雨のように低く、優しい。
「お眠の前のお話なんて、子供のとき以来だ」
カールは、もう半分眠くて、目が潤んでいる。
「あなたの横で寝たら、毎晩こんな風にお話が聞けるのかな?」
「甘えるな」
デヴィッドはカールに背を向けた。
そうは言っても、同じベッドのシーツの上。
髪や、腕や、足が、どこかでどこかと触れ合っている。
「明日はお前が話す番だぞ、カール」
「おっしゃ、腕によりをかけて面白いのを……」
「バカ。これから眠るときに面白くてどうする」
「あ、そっか…うーん…」
「ゆっくり考えろ、お休み」
明日の夜、カールはデヴィッドにどんな寝物語を聞かせるのか?
それは明日になってからのお話で。




リエさんからのリクエストはつまるところこうでした。
「二十歳位のヴィゴがロンドンにいるところの絵/エステルの絵/ハム狩小説」。
どれかひとつというお話だったのですが、どれも面白そうだったので、
よーし、全部ひとつに出来るかやってみよう!と無謀なことを(笑)。
こんなお遊びもキリリクならでは…とか、本当にキリリクで遊んでますね私(汗)。
リエさん、こんなものでよろしいでしょうか?

リクエストありがとうございましたv



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